諦煙
そう言えば、煙草を止めて半年以上過ぎた。
だいぶ前にも一度禁煙した。一年半吸わずに過ごせた。随分と気が楽になった。身体に悪いと知りながら吸わずにはいられないという内心ビクビクしていた感覚から解放され、吸わずにやれるから心底安心だと嬉しかった。
その時は禁煙ができる本を読んで本当に止められた。とても新鮮な理屈で話を進めていた。
最初にハッて思わされたのが、
今この瞬間あなたは煙草を吸っていないですね、この状態は既に禁煙に成功している事なのです。
という件だった。
次は本の中で繰り返し書かれていた事、
あなたが悪いのでは無いのです。意志が弱く我慢できないでは無く、あなたは病気なのです。ニコチン依存症だからなのです。
ニコチンの悪魔があなたに理由を思い浮かばせ、煙草を吸う正当性を主張するのです。
だけどニコチンの悪魔は弱いのです。睡眠欲の足下にも及ばないのです。熟睡中に煙草を吸いたいと思った事がありますか?
私はこの文を読んでなるほどねえと感心してしまった。自分を諦めさせる呪文にピッタリだった。
続けて言う、
ニコチンの悪魔が覚醒するトリガーにも意識を向けなさいとあった。
トリガーとは習慣のことだ。例えば、食後や仕事の合間、寝覚めなど。
だから、生活のリズムを変更したり何かワンテンポ入れずに作業を始め集中したりしよう。
とあった。
私は止めてる最中、コレがしんどかった。ただ一回そこをクリアすると後は楽になった。
減煙は効果ないよ、ガムや飴などの代替品はやらないように、とか書いてあった。
だけど、私にはフリスクは有効な味方だった。ミントの最強のヤツ、これは喉に刺激を与え体にも有効だった。
一年半後、本から遠ざかっていた。吸わない日の記録更新中で過ごしていた日々。腹の底からの怒り、この瞬間に記録は止まった。そして毎日プカプカ始まった。
内心のビビリも再開した。
何年も吸い続けていた。
9か月前までは吸ってた。世の中はiQOS、グロー、プルーム・テックと革命的な煙草になった。煙がないからタール等の有害物質はかなり軽減され、ニコチンだけの摂取で済ませられるんだ、安心だ。自己への説得、誤魔化せる理由として。ニコチン悪魔の思う壺。
グローを吸ってた。
実際の科学的な成分結果はどうなのかは分からないが、巻き煙草よりはかなりマシ、安全と思っていた。
忘れてはいけない事。ニコチンは血管を収縮させる。血圧とか影響がある。
その後、今はグローまでも吸わずにいる。
もう吸ってはならないから。
結果的に
初めから吸わない人は意識にも出ないと思う。その感覚に戻せるのではなくて、吸いたいなぁと思う。でも吸わなくても平気か、と諦めとか衝動を流せる、割り切れると思えるのが、禁煙の成功なんだと思う。
後、実感としてダイレクトにわかるのが、お金を使わないで済む事。